さむのはてぶろ

テレビの感想とか書くやつ

2018/09/09 #ト音

本日は、大阪梅田はHEP HALLにて、劇団5454さんの「ト音」を観てまいりました。2日で4本お芝居を観る予定の大トリでした。偶然にも「ト音」の大阪公演も本日分が千秋楽ということで。

ト音(2018)|劇団5454web site

 当劇団さんの人気作で、今回は再演。ただ再演するのも今回が最後。まずそのような人気作を観劇できて有り難かったですね。こちらの劇団さんやこの公演を何故知ったのかは失念しましたが、科学的な内容を軸に笑いを織り交ぜながら話が展開していく、そんなことに興味を持ってチケットを取ったのは憶えています。

ストーリーは下記で全てですね。あくまで言えることとしてですが。前述のリンクから引用します。

東京都内の公立高校に通う、新聞部の藤と秋生。
教師たちしか読まない校内新聞に嘆いている二人は、生徒たちの足を止めるべく、教師たちの「嘘」を記事にし始める。
一方で、保健室通いの秀才長谷川は、音への興味から、固有振動数の共鳴で物体の破壊を試みていた。
ある日、秋生は嘘がまとわりつく教師坂内から先制攻撃を食らってしまう。
それをキッカケに意気投合する三人は、「嘘の破壊」に乗り出すが、その先に待っていたのは、嘘と願うような真実だった。

言えないことはもちろんストーリー終盤なんですが、全く予想だにしないものでしたね。「嘘の破壊」って結局はそこにつながるんやったんかなっていう。それまでは割と笑いもあってコミカルに進んでいくんですけど、やっぱり最後ですね。あちこちで啜り泣く声も聞こえてたし。まあ私も泣いてたんですけどね。ストーリーもさることながら、板橋廉平さんと小黒雄太さんの芝居の熱量もまた特筆すべきもので。お芝居全体の笑いとしては大阪の癖の強いものではなく東京のお洒落なものなんですけど、その熱量だけはお洒落と表現するには正しくないもので。板橋さんなんかは頬を伝うものも流れていたり。また、今回のセットも簡素なもので。舞台側のHEP HALLそのものの壁が見えてるんですよね。だから見た目としてはHEP HALLという空間が全て見えてて、そこで熱のある芝居になるもんだから、言うなればお二人でHEP HALLを支配されてましたよね。個人的な感覚なんで伝わんないかと思いますが、空間全体を飲み込んでいたのは確かでした。

他の皆さんもそれぞれ笑いの箇所がありましたよね。だからそれが最後へのフリになってて。あんだけコミカルにやってたのに~っていう。笑いの質もお洒落で。何言うとんねんコイツは系の笑いじゃなくて、筋に沿ったジョークみたいなやつで、しかもどれも面白いの。個人的にはもうそれで満足なんですけどね。村尾俊明さんのおじさんノリは好きですね。東京のおじさん感がすごかったのに、村尾さんご自身は関西の方なんですね。度肝を抜かれました。高野アツシオさんのカタブツ感も好みで。あとは榊木並さん。及川詩乃さんにさらっとバカにされるシーンとかの返し方が好きでした。

 

で、このお芝居で一番感じたのは、演出面の斬新さでしょうか。再演だから斬新というのは賞味期限が切れてる気もしますが…。一番わかりやすいものだと、セットがね、黒板なんですよね。これがほんとに上手く使われてて。文字だけならず絵も描かれたりして(北野ファンクラブみたいなしっかりしたやつじゃないけども)。演者さんも人間だから絵を描くのが苦手な方がいるはずで、稽古で練習はするんでしょうけど、また変に気を遣うポイントには違いないから、それを皆さん卒なくこなしてて またそこも感心しましたよね。

他の演出だと、2018年の最新版にアップデートされてるんだなという点もいくつかあり。初演は知らないんですけどね、でも明らかに分かるんですよね。iQOSが出てきたり。いよいよ舞台で使われるのもタバコからiQOSになったのか~っていう、時の流れですよね。この世の中で一番堂々とタバコ吸える所の一つが実はお芝居の舞台上だったりするんでしょうけど、そこも剥奪されようとしてるんですね。他は軽微ながら時事ネタもあったりして、芝居も生き物なんだなということを再認識しました。クラシックなのに新しい。

 

集中的な観劇のトリに相応しい、良質なお芝居でした。大阪で東京の劇団さんの公演が観られるってほんといいですね! そんな高揚感も含みつつ、色々とありがとうございました。